監査法人の交代 2
監査法人の交代は、特定の監査法人との「なれ合い」を防止するための、ローテーションを意識したものもあるようだ(1月9日日経)。「なれ合い」が発生するかはともかく、長年やっていれば気心は知れてくるし、大手企業なら常駐監査人もいることはあるから、監査業務を離れても密接な人間関係になることはありえる。他方、監査法人を交代することはコストもかかる。まず、その企業や業界特有の業務やら慣行やらを監査法人側が習得する(させる)のに時間がかかる。「なれ合い」の反語になるが、被監査企業での人間関係を作るのも大変だ。交代させられる監査法人側にとっては顧客を奪われることになるが、現在ではさほどの抵抗は示さないのかもしれない。長期に渡り監査を続けていると、その間の不祥事に少なくとも間接的には連座させられることが多い。監督官庁から求められる再発防止策の多くは、収益を生む監査業務そのものではなく、収益を生まない監督部門の充実に充てられるからだ。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
投稿者等 | |
---|---|
業務分野 |
関連するコラム
-
2025.03.18
島村 謙
労働市場の変化と非上場企業の効率性
東京証券取引所が、MBO(経営陣が参加する買収)に関する新しいルールを設ける旨が報じられています(…
-
2024.09.13
奈良 正哉
株主対策は信託銀行
知った顔の写真が日経(9月13日)に載っていたので、また信託のことを書いてみよう。信託銀行は企業の…
-
2024.06.18
島村 謙
株主総会の答弁で大切なこと
1.株主総会の現代的な意義 ガバナンスコード等の影響により、機関投資家の株主にとっては、経営陣と直接…
-
2024.05.14
横地 未央
障害のある人への「合理的配慮の提供」はできていますか
2024年4月1日から、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」と…
奈良 正哉のコラム
-
2025.04.07
奈良 正哉
株式投資の理由
株価の暴落が止まらない。今株式投資をする「よすが」は、配当ということになろうか。大手優良企業でも、…
-
2025.04.04
奈良 正哉
アメリカ時代の終わり?
トランプ関税のおかげで世界中の株価が暴落している。アメリカ経済への打撃はもちろん、隣国や欧州から特…
-
2025.04.02
奈良 正哉
旧統一教会に解散命令
先日旧統一教会に解散命令が出た。私が同教会の存在を知ったのは50年も前のことだ。特異な勧誘方法で、…
-
2025.04.01
奈良 正哉
フジHD第三者委員会公表
昨日、フジテレビはゴールデンアワーを使って第三者委員会の調査報告書を公表していた。テレビの好きな人…