仮想通貨はチューリップより始末が悪い?
仮想通貨取引が極度に低迷しているそうだ(11月6日日経)。ITリテラシーの低い筆者のような人間からすれば当然の結末のような気がする。仮想通貨は激しく動く。動くから面白い。面白いから賭ける。というのが仮想通貨投機家の実態だっただろう。それが、動かない。だから面白くない。だから賭けない。ということになった。残念なことに仮想通貨には実需がない。決済手段として根付くことはなかった。株式や商品のように実需があれば、否応なく市場に参加せざるを得ない人がいるから、値動きに関係なくある水準の取引額は維持される。仮想通貨にはそれがなかった。もっとも塩漬けにしておけばいつかチャンスが巡ってくるかもしれない。ただ、保管は万全ではない。数々の流出事故が示唆するように取引業者のセキュリティーにも疑問符がついたままだ。さらに取引業者はいつ廃業に追い込まれるかわからない。その意味で実物のあったチューリップより始末が悪いかもしれない。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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