認知症個客の窓口対応
認知症や詐欺被害が疑われる預金者の銀行窓口対応者は、機転と手間が要求される。そういう預金者も法的にはれっきとした預金債権者であり、債務者である銀行が引出しを断る理由はない。だからこれらの顧客あるいはその家族の被害を食い止めるのは、窓口担当者の機転と手間だけに依存している。他方、銀行にとって収益性の高い投資商品をこうした顧客に勧める余地もなく、銀行にとっての生産性はゼロと言ってよい。後見にせよ民事信託にせよ引出し制限預金にせよ、きちんとした法的枠組みの中で高齢者を保護することを進めていかないと、経済全体が停滞してしまうリスクさえあるように思われる。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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