地銀の有価証券運用の高度化?

 地銀がこの閉塞環境を打破する方向として、有価証券運用の高度化があるかのようであるが(9月21日日経コラム参照)、やめたほうがいい。地銀を含む商業銀行と、信託銀行の資産運用部門や投資顧問会社は全く組織風土が違う。資産運用の現場で長く鍛えられ、実績を上げた者だけが生き残っていく厳しい世界である。プロの運用者は預貸金業務の風土の中で育つ人材ではない。地銀の運用担当者が片手間でやる市場分析と、プロのエコノミストやマーケットアナリストがするそれとでは全くレベルが違う。ディーラーやファンドマネージャーの市場アクセス力も全く違う。そもそも「有価証券運用」とは言っても多くは国内債券だけが視野に入っていることから違う。現在の市場環境化でいくら機動的に運用しても日本円債で儲かるはずがない。債券なのか株なのか商品なのか、現物なのかデリバティブなのか、国内なのか海外なのか、どう組み合わせるのか、投資すべき対象の目利きは一朝一夕には身につかない。ましてや勝てる組織風土など作れるはずもない。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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奈良 正哉

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