財務省の360度評価

 財務省が同僚や部下からの評価を人事評価に反映させる「360度評価」を導入するとのことである(8月16日日経)。360度評価はすでに広く民間企業では取り入れられていて、ここでもお役所の出遅れ感は否めない。360度評価を導入するなら、顧客満足度評価も導入したらどうか。ここで、顧客とは政治家や他省庁職員はもちろん、最終的にはサービスの受益者である国民が含まれるだろう。親族に国家公務員がいるせいで、彼の同僚の話を聞くことがあったが、国民を文字通り「国民」と称して、官僚が指導・保護する立場で発言していたのに驚いたことがある。当時はまだお上意識があったのだろうが、今はもうそういう時代ではない。社会の変革や発展は若い起業家たちに委ねられている。お上はそれを邪魔しないことが求められているだろう。そういう受動的な仕事なのだから、せめてまっとうな人事管理、労務管理ができなければ、若い人は集まらないだろう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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