三菱UFJ信託の融資撤退

 三菱UFJ信託は融資を全面的に三菱UFJ銀行に移管して、信託業務に特化するということだ。信託銀行にかつて在籍した者から想像すると、同信託銀行の社員は内心忸怩たるものがあるだろう。信託銀行といっても、銀行業務を中心にそのキャリアを積み上げた人もいるだろう。信託といっても、融資その他商業銀行業務と一体となった営業こそが、顧客に訴えると考える者があるだろう。企業や個人にとって信託は勝手口で迎える業務であって、融資や資本取引のように玄関で迎える業務ではない。それを全面的に失うとすると、三菱UFJ信託銀行は、顧客窓口としての実質的機能も商業銀行に移管して、プロダクト供給会社になるのだろう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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