持合株式売却交渉の困難さ

 持合株式売却は銀行と企業の取引に影響するが(影響しないならとっくに売っている)、銀行の本丸たる融資(順位)に影響を与えるというよりも、企業年金のシェアや債券発行引受額など信託や証券などグループ他社の取引に影響を与えやすい。本丸を司る銀行の顧客担当部署が交渉にあたるが、影響を受けるのはグループ他社であることが交渉手順を難しくしている側面がある。メガ系運用部門や運用会社は、運用能力や運用実績によって取引企業から年金シェアを獲得していると信じている(信じたい)が、実は持合株式が背景にあることも多い。系列証券会社の引受シェアも同様の事情があるだろう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

 

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