ギャンブル依存症論者は国家依存症?

 IR法案の参議院審議の主な論点のひとつとして、ギャンブル依存症対策がある。IR法案推進論者は、依存症対策をカジノビジネスとのバランスの中で説く、依存症論者は個人の保護に絶対価値を置く。だから噛み合わない。依存症論者は、仮にどんなにカジノへの出入の壁を高くしても、そこにカジノがある限り法案には反対だろう。カジノへの出入は本来個人の自由である。これを法律で規制せよ、というのは個人の自由を国家が規制せよということになる。依存症にはギャンブル以外にもたくさんある。極論すればこれら依存症を防ぐために、あらゆる局面で国家が個人の行為に介入せよということか。戦後何かあると、政府が悪い、役人が悪いとして、自己の安全の全てを国家に依存してきたしっぽが見えるようだ。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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奈良 正哉

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