かつて「優等生」であった?スルガ銀行 2

 他行に比べ貸し出し利回りが3倍近い融資というのは、営業や商品開発といったまっとうな創意工夫だけで実現できたと評価する感覚はずれている。リスク管理上の無理がなければ達成できるものではない。金融庁をはじめ、この点を見逃して優良地銀の見本のような評価をしていた向きは、その見識を疑われても仕方ない。借入人の財務状況の粉飾はともかく、担保割れを厭わない、過剰に積極的な融資姿勢は、バブル形成時代の住専の姿勢を見るようである。バブル形成期は、不動産価格が上昇し、一方で返済も進むから、担保余力がでてきた機会をとらえて、銀行が住専の融資を肩代わり(横取り)したものだ。6月26日の日経を読むと、かつての住専と銀行の関係が、スルガ銀行と他の地銀に置き換えられているようで気の毒でもある。リスクを取って果敢に高利回り融資しても、そのうまみを吸えるのはわずかな期間にすぎない。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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奈良 正哉

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