個人の空き家対策は売り逃げに限る 2
不要な不動産をいつ売るかといえば、なるべく早期に売るに限る。住居としての不動産の買替は、田舎から都会へ、郊外から中心部へ、駅遠から駅近へという流れがほぼ定着しているかの様相である。自治体の進めるコンパクトシティ構想も同じ流れだ。だから、田舎、郊外、駅遠の不動産の所有者(あるいは相続予定者)は、過去の売買事例にとらわれず、奇特な買手がいれば即売り決めることがいい。どう売るかといえば、不動産(空き家であっても潜在的空き家であっても)の処分権限を一人に集中して、簡易かつ迅速に意思決定出来るようにすることが肝要である。そのためには相続とともに空き家化が予想される不動産は、被相続人が存命のうちから民事信託をして、相続発生時はもちろんその前に認知症になっても、受託者一人の裁量で売却できるようにしておいた方がよい。相続発生まで何も手当てをせず、相続により共有になってしまうのはなんとしても避けたい。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.01.30
奈良 正哉
身元保証
独居高齢者が増加するにつれ「身元保証」が問題になっている(1月8日日経)。身元保証人は病院や施設に…
-
2025.01.17
奈良 正哉
後見人行政申立て
認知症高齢者を保護する制度として後見人制度がある。後見人の申立てをするのは、制度上第一に親族が位置…
-
2024.12.16
山田 重則
同性の事実婚状態にある者は社会保険関係の法令上、「配偶者」にあたるか。
遺族年金は、一定の要件を満たす「配偶者」に対し、支払いがなされます。そして、「配偶者」については、「…
-
2024.12.10
奈良 正哉
安楽死法案
英国下院で安楽死法案が通った(11月30日日経)。本人が寿命を人為的に短くすることを認める。 日…
奈良 正哉のコラム
-
2025.01.30
奈良 正哉
身元保証
独居高齢者が増加するにつれ「身元保証」が問題になっている(1月8日日経)。身元保証人は病院や施設に…
-
2025.01.29
奈良 正哉
メディアの劣化誰の事?
フジテレビの長時間記者会見は酷かったとの評価が多い。長時間付き合ったわけでなく垣間見ただけであるが…
-
2025.01.28
奈良 正哉
美術品を株主還元に充てる
インキメーカーのDICは、所有する美術品売却金を株主還元の原資に充てる(1月28日日経)。政策保有…
-
2025.01.22
奈良 正哉
フジスキャンダル
中居スキャンダルはフジスキャンダルに発展している。同氏と女性の間のトラブルへの社員による関与疑惑に…