民事信託の信託財産 6
信託財産として不動産を信託すると、受託者はこれを登記しなければならない。この登記は通常の所有権移転の登記等とは違って、信託契約の概要を信託目録として併せて登記することになる。この信託目録には、委託者・受託者と並び受益者や、残余財産の帰属者が掲載されることになる。だから、当該不動産の行く末は登記を見れば誰の目にも(つまり受益者や残余財産の帰属者以外の相続人等にも)明らかになる。ここで相続争いが前倒しされることになる。逆に言えば委託者の死後の相続が争いにならないように、当該不動産の承継者を委託者と相続人間で話し合い、合意された者がその不動産の所有者になるといったことを信託契約の内容とするのが筋である。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2024.06.10
奈良 正哉
おひとり様の死後事務
おひとり様の死後事務委任のニーズが高まっている(5月25日日経参照)。すでにおひとり様はもちろん、…
-
2024.06.07
奈良 正哉
最後のお勤めとして調停員はいかが
先日前職場のOB会に出た。企業年金も分厚い世代だから老後生活としては「勝ち組」の方々か。 第二の…
-
2024.06.04
奈良 正哉
215歳の失踪宣告
相続で一番困るのが相続人の探索だ。相続人が揃わなければ遺産分割ができない。相続人が誰かは戸籍を辿れ…
-
2024.05.13
奈良 正哉
介護職不足
休日の朝7時、近所のご老人の突然の訪問を受けた。 認知症患者が高齢者の7人に1人になるとの試算が…
奈良 正哉のコラム
-
2024.07.16
奈良 正哉
地銀政策保有から純投資へ
地銀では保有株式の保有目的区分を、政策投資から純投資に振り替える動きが盛んだそうだ(7月11日日経…
-
2024.07.12
奈良 正哉
ダイドー株主提案取締役辞任
ダイドーリミテッドの6月の株主総会において、アクティビスト提案で選任された取締役のうち一人が、2週…
-
2024.07.11
奈良 正哉
社外取締役に株式報酬
日立は社外取締役への株式報酬制度を導入する(7月10日日経)。社外取締役はもっぱらディフェンスが仕…
-
2024.07.10
奈良 正哉
旅館で働くアジア人
観光業は未曾有の人手不足のようだ(7月9日日経参照)。そのせいか地方観光地の旅館やホテルに泊まると…