民事信託の信託財産 6
信託財産として不動産を信託すると、受託者はこれを登記しなければならない。この登記は通常の所有権移転の登記等とは違って、信託契約の概要を信託目録として併せて登記することになる。この信託目録には、委託者・受託者と並び受益者や、残余財産の帰属者が掲載されることになる。だから、当該不動産の行く末は登記を見れば誰の目にも(つまり受益者や残余財産の帰属者以外の相続人等にも)明らかになる。ここで相続争いが前倒しされることになる。逆に言えば委託者の死後の相続が争いにならないように、当該不動産の承継者を委託者と相続人間で話し合い、合意された者がその不動産の所有者になるといったことを信託契約の内容とするのが筋である。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2024.12.16
山田 重則
同性の事実婚状態にある者は社会保険関係の法令上、「配偶者」にあたるか。
遺族年金は、一定の要件を満たす「配偶者」に対し、支払いがなされます。そして、「配偶者」については、「…
-
2024.12.10
奈良 正哉
安楽死法案
英国下院で安楽死法案が通った(11月30日日経)。本人が寿命を人為的に短くすることを認める。 日…
-
2024.09.12
奈良 正哉
相続には信託
相続預金のつなぎ止めのために、地域金融機関が本体による信託ビジネス参入を図る動きが見える。人間が絶…
-
2024.09.03
奈良 正哉
戸籍謄本の電子取得
戸籍謄本が電子手続きで取得できるようになるようだ(8月22日日経)。戸籍制度は日本とその影響下にあ…
奈良 正哉のコラム
-
2024.12.26
奈良 正哉
スタートアップに中高年転職
スタートアップに転職する中高年が増加している。20代、30代を押さえて、40代以上は2022年に比…
-
2024.12.25
奈良 正哉
香港不動産の苦境
香港の不動産市況は中国本国の余波を受け芳しくない。賃料はピークの半分になっているとのことだ。これで…
-
2024.12.24
奈良 正哉
貸金庫ビジネスの行方
三菱UFJ事件の後、時々貸金庫について聞かれる。ただ支店事務の経験がないのでよく知らないというのが…
-
2024.12.23
奈良 正哉
中国30年国債利回り
中国の30年物の国債の利回りが日本のそれを下回ったという、マニアックで地味な記事がある(12月3日…