民事信託の信託財産 5
信託財産として委託者の全ての財産を信託する必要はないし、また全ての財産を信託することが妥当でないことが多い。重要で管理に手間がかかる財産だけを信託すればよい。この点遺言はすべての財産を一括して対象とすることも多い。民事信託のうち委託者兼受益者が亡くなると信託が終了するタイプには、委託者の生前の財産管理機能の他に、委託者の死後の財産分与機能がある。財産分与については信託と遺言は機能が重なる。だから、信託では重要な財産の行方を生前から相続人等に明らかにする一方、それ以外の財産の処分を遺言に委ねるという2本立てが合理的である。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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