テレビ報道における法律用語 Vol.1

テレビ報道では、刑事事件の容疑者が起訴された場合に、その者のことを「●●被告」と呼ぶことが多い。

しかし、これは法律用語しては誤りである。刑事起訴された者ことを何と呼ぶのが法律用語として正解か。

 

 

正解:「●●被告人」

理由:刑事起訴された者は、法律用語では、「被告人」と呼ばれる。「被告」は、民事事件において、訴えを提起された者を指す。

 

 

以前、NHK放送研修センターの日本語センターの方に、テレビ報道において「●●被告」という表現が用いられる理由を伺ったところ、意外な答えが返ってきた。

報道を耳で聞くうえで、「被告人」と呼ぶことは、「非国民」と聞き間違えられる可能性があるので、それを避けるために、「被告」という表現を用いるとの報道慣行になっているとのことであった。

現代の日本のテレビ報道で、「非国民」という用語が出てくるとは思えないので、「被告人」、「被告」の使い分けを行ってもよいではないかと思う。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 横田 未生

関連するコラム