【固定資産税】徴収ミスはなぜ起きるか
1 頻発する徴収ミス
建物の固定資産税は徴収ミスが多いと言われています。度々、新聞でも取り上げられています(例えば、日本経済新聞2016年3月29日朝刊https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS25H5E_Y6A320C1EE8000/)。また、平成24年に、総務省が全国の市町村を対象に、土地・家屋の固定資産税の徴収ミスについて実態調査を行ったところ、回答に応じた市町村のうち97%で何らかの徴収ミスがあったことが報告されています(平成24年8月28日「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果」http://www.soumu.go.jp/main_content/000173655.pdf)。
2 家屋の固定資産税の計算方法
家屋の固定資産税は、家屋の評価額に税率(通常は1.4%)を乗じて、算出されます。そして、家屋の評価額は、総務省の告示している「固定資産評価基準(第2章家屋)」に則って算出され、その際には、主として、①家屋の用途(事務所、住宅、病院、工場等)、②家屋の構造(木造、SRC構造、RC構造、S構造等)、③建築資材の種類や量が判断要素となります。
3 徴収ミスの要因
上記①~③を判断する際には、建築に関する知見が必要になります。特に、③建築資材の種類や量については、建築設計図素面等(仕様概要書、求積図、仕上表、一般図、構造図、建築設備図、竣工図等)、工事費内訳明細書、建築確認申請書などの資料を読み解くことが必要であり、建築の専門家でなければ正確な判断は困難といえます。
固定資産税は賦課方式ですので、東京都や全国の市町村の職員が上記①~③の判断をする必要があります。しかし、職員は建築の専門家ではなく、また、数年で部署を異動するため経験豊富な職員の絶対数が不足することになり、これらの判断にミスが生じてしまうことがあるのです。
なお、家屋の固定資産税の算出にはこのように高度な知識が要求されることになるため、職員のための研修機関が設置されています(一般財団法人資産評価システム研究センター http://www.recpas.or.jp/)。ここでは、多くの資料が閲覧できますが、特に「固定資産税評価のあらまし―土地・家屋を中心に―」では、具体的な事例を用いて、木造家屋の評価の方法が記されており、参考になります(http://www.recpas.or.jp/new/jigyo/report_web/h27_hyouka_aramashi.pdf)。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 山田重則
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