民事信託における委託者の契約能力
現在組成されている民事信託は高齢者保護を目的としたものが多い。だからもちろん委託者は高齢者である。民事信託と同じような機能を持つ従来型の仕組みとして遺言がある。遺言も高齢者によって作成されることがほとんどである。高齢者は理解力や判断力が下降線にある。その遺言者が亡くなったあと、遺言者が本当に内容を理解して、自身の判断に基づいて遺言をしたのか(遺言能力)が争われる裁判はたくさんある。民事信託はまだ実質的な歴史は浅い。しかし遺言よりもずっと複雑で条文数も多い民事信託を、高齢委託者が理解し判断して契約したのか、争われる例は今後相当数出てくるかもしれない。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2025.02.20
奈良 正哉
認知症でも証券投資
認知症になっても、親族が代理人になって証券投資(新規購入)が続けられるようにするそうだ(2月20日…
-
2025.02.18
奈良 正哉
遺産国庫帰属10年で3倍
相続する人がいなくて、結局国庫に帰属した遺産は10年間で3倍、1,000億円超になったそうだ(2月…
-
2025.01.30
奈良 正哉
身元保証
独居高齢者が増加するにつれ「身元保証」が問題になっている(1月8日日経)。身元保証人は病院や施設に…
-
2025.01.17
奈良 正哉
後見人行政申立て
認知症高齢者を保護する制度として後見人制度がある。後見人の申立てをするのは、制度上第一に親族が位置…
奈良 正哉のコラム
-
2025.04.02
奈良 正哉
旧統一教会に解散命令
先日旧統一教会に解散命令が出た。私が同教会の存在を知ったのは50年も前のことだ。特異な勧誘方法で、…
-
2025.04.01
奈良 正哉
フジHD第三者委員会公表
昨日、フジテレビはゴールデンアワーを使って第三者委員会の調査報告書を公表していた。テレビの好きな人…
-
2025.03.31
奈良 正哉
本屋さんがなくなる
周りでも本屋さんが減ってきた印象だ。今では4分の1の市町村で本屋さんがないそうだ(3月31日日経)…
-
2025.03.28
奈良 正哉
フジHD日枝氏退任
フジHDの日枝取締役が退任する。同時に取締役会の構成も教科書通りに一新する。 日枝氏をここまで超…