民事信託における委託者の契約能力
現在組成されている民事信託は高齢者保護を目的としたものが多い。だからもちろん委託者は高齢者である。民事信託と同じような機能を持つ従来型の仕組みとして遺言がある。遺言も高齢者によって作成されることがほとんどである。高齢者は理解力や判断力が下降線にある。その遺言者が亡くなったあと、遺言者が本当に内容を理解して、自身の判断に基づいて遺言をしたのか(遺言能力)が争われる裁判はたくさんある。民事信託はまだ実質的な歴史は浅い。しかし遺言よりもずっと複雑で条文数も多い民事信託を、高齢委託者が理解し判断して契約したのか、争われる例は今後相当数出てくるかもしれない。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
関連するコラム
-
2024.12.16
山田 重則
同性の事実婚状態にある者は社会保険関係の法令上、「配偶者」にあたるか。
遺族年金は、一定の要件を満たす「配偶者」に対し、支払いがなされます。そして、「配偶者」については、「…
-
2024.12.10
奈良 正哉
安楽死法案
英国下院で安楽死法案が通った(11月30日日経)。本人が寿命を人為的に短くすることを認める。 日…
-
2024.09.12
奈良 正哉
相続には信託
相続預金のつなぎ止めのために、地域金融機関が本体による信託ビジネス参入を図る動きが見える。人間が絶…
-
2024.09.03
奈良 正哉
戸籍謄本の電子取得
戸籍謄本が電子手続きで取得できるようになるようだ(8月22日日経)。戸籍制度は日本とその影響下にあ…
奈良 正哉のコラム
-
2024.12.20
奈良 正哉
ホンダ日産経営統合
ホンダと日産は経営統合する方向だ。事実上ホンダによる日産の救済だろう。 日産は、スカイラインやフ…
-
2024.12.19
奈良 正哉
政策株売却金で投資
東京海上は政策保有株式の売却金を戦略的な投資に当てている。あらたに建設コンサルティング会社を買収し…
-
2024.12.18
奈良 正哉
トランプ氏安倍昭恵さんと面会
トランプ氏夫妻は安倍昭恵さんと面会した。トランプ氏は安倍首相が亡くなった後、ときおり安倍昭恵さんに…
-
2024.12.16
奈良 正哉
アクティビストの保有期間
日経に主要アクティビストの平均投資期間が掲載されている(12月5日)。2~3年が多いようだ。そんな…