会社法改正試案 2
社外取締役はいたほうがいいが、問題は人選である。ワンマンな会社では社長が社外取締役を選ぶだろう。その社外取締役によほどの使命感がないと、社長の決定に対して社外からお墨付きを与えるだけになってしまう可能性がある。会社のことや業界のことをほとんど知らない人がなると、取締役会で突飛な質問をして説明者を当惑させる。さらには、取締役会の事務方(総務部、経営企画部等のスタッフ)が議案の事前説明に多大な労力を要する。大企業は社外取締役の肩書に拘っているように思えるが、そういう人はいくつもの会社を掛け持ちする。3つも4つも掛持ちしてさらに本業がある場合、本当に牽制機能が発揮できるのか疑問である。また、3月決算の会社を掛け持った場合、決算取締役会から株主総会の演習までが5月から6月周辺に固まるから、事務方によるスケジュール調整も大変である。会計士OBがなると会計不正が防止できるのか、検察官OBがなると企業不祥事が防止できるのか、経験的には不明である。
鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉
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