会社法QA(平成26年改正後版) 第17回 監査役の兼任禁止・社外監査役の要件
【テーマ】 監査役の資格・兼任禁止・社外監査役の要件
【解説】
1 監査役の資格・兼任禁止
監査役については、取締役の資格要件を定める会社法331条1項の規定が準用されており、法人・成年被後見人・一定の犯罪者等は監査役になれません(同法335条1項)。また、公開会社の監査役については、株主に限定する旨の定款の定めをすることはできません(会社335条1項・331条2項)
監査役は、株式会社・その子会社の取締役・支配人その他の使用人、または子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)・執行役を兼ねることができません(会社法335条2項)。
これらの地位にある者が監査役に就任した場合には、その地位を辞したものとみなされ、監査役がこれらの地位に就いた場合には、監査役を辞任したものとみなされます。それにもかかわらず、事実上兼任状況が継続した場合については、監査役の義務懈怠となるに過ぎないとする判例(最判平1・9・19判時1354・149)があります。しかし、このような兼任は、監査役の職務執行と両立しないというのが法の趣旨ですから、そのような状況の監査役の監査は、無効と解するべきでしょう。
特に、監査役を辞任したものとみなされる場合には、監査役でなくなっているのですから、その者の行為を監査役の行為とすることはおかしいと考えられます。他方、取締役等を辞任したものとみなされる場合については、監査役が事実上取締役としてふるまった場合に類似する面をもちます。その場合の監査の効力については、その状況に応じて、監査役の義務違反で処理できる場合と監査の効力を否定すべき場合とが考えるべきでしょう。少なくとも、すべての場合について、監査役の義務違背に過ぎないと整理することは、適当ではありません。
なお、ある会社の監査役について、当該会社が、当該監査役が取締役である会社を子会社としたような場合も、当然この兼任禁止に抵触することになり、同じ問題が起こります。
また、会計参与の欠格事由の1つとして、当該株式会社の監査役であること(監査役は会計参与になれないと)が規定されています(会社法333条3項1号)。
2 社外監査役の要件
社外監査役とは、
①その就任前10年間その会社または子会社の取締役・会計参与・執行役・使用人であったことがないこと
②その就任前10年以内のいずれかの時にその会社または子会社の監査役であったことがある者については,当該職への就任の前10年間その会社または子会社の取締役・会計参与・執行役・使用人であったことがないこと
③その会社の自然人である親会社等(会社法2条4号の2)又は親会社等の取締役・監査役・執行役・使用人でないこと
④その会社の姉妹法人の業務執行取締役・執行役・使用人でないこと
⑤その会社の取締役・重要な使用人または自然人である親会社等の配偶者または二親等内の親族でないこと
の全ての要件を満たす者(会社法2条16号)です。
社外監査役の資格が上記のようになったのは,平成26年の会社法改正によるものです。
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