【ベトナム労働法(2)】労働時間についての規制
1、通常の勤務時間(ベトナム労働法第104条)
勤務時間は、原則として1日8時間(週給制の場合には1日10時間)、および週48時間を超えてはなりません。
なお、例外的に、特別な重労働・有害・危険な業務のリストに該当する業務を行う労働者については1日6時間を超えてはならないとの規制があります。
2、深夜勤務時間(ベトナム労働法第105条)
深夜勤務時間は、22時から翌日の6時までを指し、その時間帯の労働については、賃金の割増が必要となります。(割増賃金の計算方法については、別記事でご説明します。)
3、時間外労働(ベトナム労働法第106条、45号政令)
時間外労働とは、法律、集団労働協約または就業規則で規定された通常の勤務時間以外の時間に就労することを言います。
使用者は、次に掲げるすべての条件を満たした場合に、労働者を時間外労働させることができます。
- 労働者の同意を得ること。
- 労働者の時間外労働の時間数は、1日の通常勤務時間の50%を超えてはならず、週当たり勤務時間の規定を適用している場合は、通常の勤務時間と時間外労働の総時間数が1日12時間を超えてはならず、1カ月で30時間、1年で200時間を超えてもならない。ただし、政府が規定する特別な場合は、1年で300時間を超えない時間外労働が認められる。
- 1カ月間に時間外労働の日が多く続いた場合、使用者は労働者が休めなかった期間の代休を取得できるよう人員を配置しなければならない。
【ベトナムPHOTO(2):2016年3月ハノイ、旧市街にて】
投稿者等 | |
---|---|
業務分野 |
関連するコラム
-
2024.12.26
奈良 正哉
スタートアップに中高年転職
スタートアップに転職する中高年が増加している。20代、30代を押さえて、40代以上は2022年に比…
-
2024.12.11
橋本 浩史
夜勤時間帯(不活動時間)における割増賃金の算定基礎 ~東京高裁令和6年7月4日判決~
1 はじめに 労基法37条は、時間外等労働の割増賃金の算定基礎を「通常の労働時間又は労働日の賃金」(…
-
2024.11.20
横地 未央
ジョブ型人事指針の公表について
2024年8月28日、内閣官房、経済産業省および厚生労働省は「ジョブ型人事指針」(以下「本指針」とい…
-
2024.11.20
島村 謙
広範な配転命令権を認めなかった最高裁判決とジョブ型雇用
少し前ですが、大学受験を控えた高校生と話す機会がありました。ITエンジニアになりたいそうで、そのため…
川久保 皆実のコラム
-
2016.07.04
川久保 皆実
【ベトナム労働法(5)】時間外労働・深夜労働の賃金
ベトナムにおける時間外労働および深夜労働(22時から翌日6時まで)の賃金については、以下のとおり割増…
-
2016.06.27
川久保 皆実
【ベトナム労働法(4)】休憩時間
日本の労働基準法では、勤務時間が6時間超8時間以下の場合には少なくとも45分間の休憩を、勤務時間が8…
-
2016.06.15
川久保 皆実
【ベトナム労働法(3)】時間外労働はどのような場合に認められるか
前回の記事で、使用者は、次に掲げるすべての条件を満たした場合に、労働者に時間外労働させることができる…
-
2016.06.01
川久保 皆実
【ベトナム労働法(1)】ベトナムの最低賃金
日本と同様に、ベトナムにおいても、労働者の賃金額は政府が定めた最低賃金を下回ってはならない、とされて…