連載 リスクコンシェルジュ~税務リスク 第60回 「マイナンバー制度」と会社の税務

Q 「マイナンバー制度」が始まると聞きました。民間の事業者である会社も、マイナンバー制度へ対応する必要があるらしいのですが、会社の税務の取扱いは、どのように変わるのでしょうか。

A マイナンバー制度は、社会保障の分野、税の分野、災害対策の3つの分野で、平成28年1月からスタートします。税の分野については、会社が作成する確定申告書、法定調書等の税務関係書類に、個人番号や法人番号を記載することが求められます。

(解説)
1.マイナンバー制度とは
マイナンバー制度とは、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)及びその他の関係法令等に基づき、平成28年1月からスタートする制度です。
これに先立ち、平成27年10月から、日本に住む個人には、住民票に登録された住所に、12桁の個人番号(マイナンバー)を記載した「通知カード」が送付されます。そして、平成28年1月から、申請した希望者には、通知カードと引き換えに「個人番号カード」が配布されます。個人番号カードには、住所、氏名、生年月日、性別、個人番号、顔写真が表示されます。
法人には、平成27年10月から、登記上の所在地に、13桁の法人番号が、国税庁長官より通知されます。

2.国税分野でのマイナンバーの利用
国税の分野においては、会社が作成して税務署に提出する法人税の確定申告書に、法人番号を記載することになります。
また、会社が作成して税務署に提出する法定調書等には、支払者及び支払いを受ける者の個人番号・法人番号を記載します。また、給与所得の源泉徴収票には、支払者である会社の法人番号、支払を受ける従業員の個人番号の他に、控除対象配偶者及び扶養親族等の個人番号も記載することになります。
このように、会社が作成する法定調書等に個人番号・法人番号を書くことになりますので、現在、番号を記載する欄を追加するなど書類の様式の改訂が行われています。
これらの書類を税務署に提出する前までに、支払を受ける者等、例えば、従業員やその扶養家族等から、個人番号の提供を受ける必要があるのです。

3.個人番号の提供を受けるには
会社が、従業員等から個人番号の提供を受ける場合には、成りすまし防止のため、厳格な本人確認が必要とされています。
マイナンバー制度が定める本人確認は、①提出された個人番号が正しい番号であることの確認(番号確認)と、②番号の正しい持ち主であることの確認(身元確認)の2つを行うことが必要とされています。
具体的には、原則として、(1)個人番号カード(個人番号カードは番号確認と身元確認の両方に使えます)、(2)通知カード(番号確認)と運転免許証(身元確認)、(3)個人番号が記載された住民票の写し(番号確認)と運転免許証(身元確認)などで、本人確認を行うこととされています。

4.詳しい情報を知りたいときは
 マイナンバー制度についての情報は、以下のウェブサイト等で見ることができます。
・内閣官房「マイナンバー社会保障・税番号制度」
・国税庁「社会保障・税番号制度」
・特定個人情報保護委員会

鳥飼総合法律事務所 弁護士 佐藤香織

※ 本記事の内容は、平成27年3月末現在の法令やガイドラインに基づいています。

※ 「リスクコンシェルジュ」連載全記事にはこちらからアクセスできます。

 

関連するコラム