連載 リスクコンシェルジュ~税務リスク 第35回 Windows XPサポート終了等に伴って

Windows XPサポート終了等に伴って

 

 当社では,2014年4月のWindows XPのサポート終了,及び,2015年7月に予定されるWindows Server 2003のサポート終了に伴い,サーバーやソフトウェア(OS)等の買換えを予定しています。我が社は青色申告をしている中小企業ですが,アベノミクス成長戦略の一環として,中小企業が行う設備投資についての税制優遇措置が手厚くなったと聞きました。具体的にはどのような優遇措置が受けられるのでしょうか?また,その適用を受けるための必要手続きを教えて下さい。

 

 平成26年度税制改正により,中小企業投資促進税制の適用期限が3年間延長され,更に,その内容も拡充されました。具体的には,生産性の向上に資する設備に対する投資については,取得価額までの特別償却(即時償却),または,7%(資本金3,000万円以下の中小企業者等は10%)の税額控除が適用できます。これらの優遇措置の対象となる「生産性の向上に資する設備」には,一定の要件がありますが,御社が買換えを予定されているサーバーについては,ソフトウェア(OS)を同時に取得するものに限り,1台の取得価額が30万円以上で,かつ,1事業年度における取得価額の合計額が120万円以上ならば,この適用対象設備に該当します。なお,優遇措置の対象となる設備であることの証明として,工業会等が発行する証明書が必要になります。

 

(解説)

1.拡充の概要

平成26年3月20日に参議院本会議で可決・成立した,平成26年度税制改正の目玉のひとつに,生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法42の12の5)の創設があります。これは,企業が生産性を向上させる一定の機械装置や建物等を取得等し,事業の用に供した場合に,即時償却または5%の税額控除ができるという制度です。一方,これとリンクするものとして,中小企業投資促進税制(租税特別措置法42の6,68の11)の拡充があります。中小企業投資促進税制は,従来から多くの中小企業が適用していた優遇措置ですが(平成24年度における適用件数2万4342件,総額2282億円),先の税制改正により,その適用期限が3年間延長され,併せて,生産性向上設備等についての税制優遇が上乗せされました。上乗せの内容は,従来30%の特別償却が認められていたものについて即時償却が可能となったこと,及び,従来7%であった税額控除が10%(資本金3千万超の企業については7%)となったことなどです。ここで注目すべきは,従来は適用対象外であった,資本金3千万円超の中小企業についても優遇措置の対象となったことです。なお,中小企業投資促進税制の適用対象法人,適用対象資産,控除限度額等,従来から変更のない部分につきましては,鳥飼総合法律事務所HP「~意外に知らない『得する法人税』-2-【中小企業投資促進税制】」(2012/4/24)をご参照下さい。

2.生産性向上設備等

中小企業投資促進税制の税制優遇の上乗せ措置が適用される設備とは,中小企業が取得した機械装置等のうち,「先端設備」の要件又は「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」の要件のいずれかを満たす,「生産性向上設備等」に該当するものとなります。このうち,設例の「サーバー」は,先端設備のひとつである器具備品に該当しますが,先端設備に該当することについては,優遇措置を適用する中小企業者が確認する必要はなく,設備メーカーが工業会等から証明書を発行してもらい,中小企業者に設備メーカーから証明書を転送してもらうことを基本的な枠組みとしています。

3.適用対象期間

中小企業投資促進税制の適用期限は3年間延長され,平成29年3月31日まで適用できることとなりました。なお,生産性向上設備等の取得に係る優遇措置は,産業競争力強化法の施行日である「平成26年1月20日」以降に取得した資産から適用されます。ただし,今年(平成26年)3月までに終了する事業年度に取得したものについては,今年4月1日を含む事業年度での適用となることにご注意下さい。

 

鳥飼総合法律事務所 パラリーガル 髙瀬貴子

 

※ 本記事の内容は、2014年3月末現在の法令及び税制改正大綱に基づいています。

※ 本稿は、一般的な情報の概要を提供するものです。
  個別の事案につきましては、当該事案の個別具体的な事情に応じて、税理士等専門家にご相談頂くことをお勧め致します。

※ 「リスクコンシェルジュ」連載全記事にはこちらからアクセスできます。

関連するコラム